「うさぎを飼わなきゃよかった……」そんな声を見かけたことはありませんか?
SNSやブログ、Q&Aサイトなどでは、うさぎを飼い始めたばかりの方や、予想外の大変さに直面した方の「後悔」の声がときどき見られます。
しかし、その言葉の裏には、単なる否定ではない「戸惑い」や「葛藤」、そして「どう接していいかわからない不安」があるのではないでしょうか。
この記事では、うさぎを飼う中で後悔に似た気持ちを抱いた人の声。
実際にうさぎと向き合う中で見えてくる気づき。
そして「迎えてよかった」と思えるようになるまでの心の変化を、筆者自身の体験も交えてお伝えします。
なぜ「うさぎ飼わなきゃよかった」と感じるのか?
① 思ったより世話が大変だった
うさぎは「静かでおとなしいペット」と思われがちですが、実際の世話は繊細で手間もかかります。
毎日のトイレ掃除、食事の管理、ケージの掃除、運動時間の確保など、継続的なお世話が必要です。
また、換毛期には毛が抜けやすく、掃除の頻度も増えるため、予想以上に手がかかることに驚く飼い主も多いです。
さらに、うさぎはストレスに弱く、環境の変化や温度管理にも注意が必要なため、細かな配慮が求められます。
② トイレのしつけがうまくいかない
うさぎはトイレを覚える子もいますが、すべての子が完璧に覚えるわけではありません。
絨毯やフローリングにおしっこされて困った、という声も多く、想定外のトラブルに戸惑う飼い主も少なくありません。
特にお迎え初期は失敗が多く、何度も掃除するうちにストレスを感じることもあります。
トイレの位置や使う砂の種類によっては覚えやすさが変わるため、根気よく試行錯誤する必要があります。
③ 夜中に音がして眠れない
うさぎは夜行性・薄明薄暮性(夕方と早朝に活発)なので、夜中にケージをガタガタさせたり、走り回ったりすることがあります。
寝室にケージを置いていると、眠れずにストレスになることも。
特に狭い空間では音が響きやすく、神経質な人にとっては想像以上の負担になります。
また、突然の物音で目が覚めることが続くと、睡眠不足にもつながり、飼い主の体調にも影響が出てしまいます。
④ アレルギーや体調面の問題
うさぎの毛や牧草によってアレルギーを発症することもあります。
家族にアレルギー持ちの方がいると、思った以上に生活への影響が出てしまい、「もう飼えないかも」と不安になることも。
特にチモシーと呼ばれる牧草はアレルゲンとなりやすく、室内の空気環境にも注意が必要です。
アレルギー対策として空気清浄機の導入やマスクの使用が求められるケースもあり、生活スタイルの見直しが必要になります。
⑤ 予想以上に医療費がかかる
うさぎは体調の変化がわかりづらく、気づいたときには急いで病院へ、ということも多い動物です。
しかも診てもらえる動物病院が限られているため、通院も大変です。
検査や手術には高額な費用がかかることもあります。
さらに、うさぎは我慢強く不調を隠す傾向があるため、定期的な健康チェックや異変への早期対応が求められます。
夜間や休日の緊急対応に備えた病院のリストを準備しておくことも必要になるなど、予想以上に準備と費用がかかるのが現実です。
わたしも悩んだ、けれど…|飼って見えた“気づき”
思い通りにならないからこそ、命と向き合えた
わたし自身も、初めてうさぎを迎えたときは戸惑うことばかりでした。
思うようにならない日々に「困ったな…」と不安になったこともあります。
でも、その中で少しずつ気づいていったのは、「命は思い通りにならないもの」だということ。
そして、だからこそ一緒に生きていく意味がある、ということでした。
人間の都合に合わせようとするのではなく、その命とどう向き合うか、どう寄り添うか。
その姿勢が大切なのだと感じています。
うさぎにも性格があると知った
うさぎにも一匹一匹、驚くほど豊かな個性があります。
怖がりで人の気配にすぐ反応する子、好奇心旺盛で部屋中を走り回る子、感情を音や行動で表現する子(足ダンや、鼻でツンツンするなど)……。
一緒に暮らす中で、「この子はどんな性格なんだろう」と観察する時間が、自然と愛情を育ててくれました。
性格を理解してからは、その子に合った接し方を考えられるようになり、無理に慣れさせようとしなくても自然と距離が縮まりました。
関係性がぐっと楽になり、「この子はこの子でいいんだ」と受け入れられるようになったのです。
「後悔」から「理解」へ変わったきっかけ
最初は「大変だな」「思っていたのと違う」と感じていたことも、うさぎの目線で見てみると、まったく別の景色が見えてきます。
「この子も不安なんだ」「慣れない環境の中で必死に伝えようとしてくれているんだ」と分かるようになったとき、胸がじんわりと温かくなったのを覚えています。
うまくいかない出来事ひとつひとつが、実はうさぎからのサインだったことに気づいたとき、後悔は自然と理解に変わりました。
そんな小さな気づきの積み重ねが、いつのまにか「一緒に暮らしてよかった」という気持ちにつながっていくのだと思います。
飼ってよかったと思えるようになるための工夫
うさぎの性格に合わせた接し方
うさぎにも「ひとりが好き」「そっとしてほしい」「甘えたい」といった好みがあります。
飼い主が自分の期待だけで接してしまうと、うまくかみ合わず「なつかない」「愛されていない」と感じてしまうこともあります。
うさぎはとても繊細な動物で、人との距離感に強いこだわりを持つこともあるため、まずは観察を通じて「この子が何を求めているか」を知ることが大切です。
その子の性格を理解した上で、距離感や関わり方を調整していくと、やがてうさぎからも少しずつ信頼のサインが見えてくるようになります。
たとえば、目を合わせてくるようになったり、そっと近づいてくるようになったりと、微細なしぐさにも変化が見られるようになります。
生活環境を見直すだけで変わることも
騒音、気温、スペース、ケージのレイアウトなど、環境のちょっとした改善だけで、うさぎのストレスが軽減されることがあります。
わたしも「昼間に音がうるさいかも」と思って設置場所を変えたところ、驚くほど落ち着いてくれるようになったことがあります。
光の入り方や風通しなど、うさぎの視点で環境を見直すと、意外な発見があることも。
また、ケージの位置や床材、トイレの場所を工夫することで、落ち着いて過ごせるスペースを作りやすくなります。
部屋の一角を“安心できる場所”として整えるだけでも、うさぎの行動や気持ちが穏やかに変わることがあります。
無理をしない育て方の考え方
うさぎに限らず、生き物を育てるうえで「完璧を求めすぎない」ことはとても大切です。
ときには疲れてしまったり、うまくできない日もあるのが当然です。
「今日はこのくらいでいい」「お互いのペースで向き合えばいい」そう考えるようになってから、うさぎとの時間がずっと楽になりました。
毎日の世話に義務感ばかりを感じるのではなく、「この時間が大切なひととき」と受け取るようになってからは、自分自身も少しずつ癒やされるようになった気がします。
完璧じゃなくても、思いやりと観察があれば、うさぎとの関係は少しずつ深まっていきます。
その過程を楽しむ気持ちこそが、うさぎと心地よく暮らすためのいちばんのコツなのかもしれません。
これから飼う人に伝えたいこと
事前に知っておきたい「うさぎのリアル」
ネットやSNSでは、可愛いうさぎの写真や動画がたくさん見られます。
その可愛らしい姿に癒やされ、「私も飼ってみたい」と思う人も多いでしょう。
でも、その裏側には日々の手間や責任、そして気をつけなければならないことが数多くあります。
特に初心者の方にとっては、見えにくい部分こそが後々大きな壁となる可能性があります。
事前に「大変さ」や「想定外のこと」にも目を向けておくことで、「こんなはずじゃなかった」というギャップを少なくできます。
理想だけでなく現実にも目を向け、準備と覚悟を持ってお迎えすることで、その後の暮らしがずっとスムーズになります。
ネットの情報だけで決めないで
情報収集はとても大切なプロセスです。
しかし、文章や写真だけではどうしても伝わりきらない部分があります。
例えば、実際の行動、飼い主との関係性などは、ネット情報だけでは想像しづらいものです。
できれば実際にうさぎを飼っている人の話を聞いたり、動物病院やうさぎ専門店でスタッフの声に耳を傾けるなど、「リアルな声」に触れてから判断するのが理想です。
そういった経験は、自分の暮らしに合っているかを見極める助けになります。
それでも「迎えてよかった」と思える日がくる
最初は戸惑いや不安があっても、それを乗り越えた先には、かけがえのない時間が待っています。
うまくいかない日が続いたとしても、うさぎと少しずつ心を通わせていく中で、ふとした瞬間に見せる信頼のサインが心を打ちます。
わたし自身、「困ったな。きちんと飼育できるかな。無事に大きくなるかな」と感じた瞬間があったからこそ、「今そばにいてくれるこの子の存在が、どれほど尊いものか」に気づくことができました。
そしてその気づきは、単なるペットとの関係を超えた深い絆へと変わっていったのです。
まとめ
うさぎを飼う中で「飼わなきゃよかった」と感じる瞬間があるのは、決しておかしなことではありません。
大切なのは、その気持ちを責めることではなく、「なぜそう思ったのか」に向き合ってみることです。
うさぎは言葉を話さないぶん、行動や表情、しぐさでたくさんのことを伝えています。
その“声なき声”を受け止めようとする中で、少しずつ絆が深まっていくはずです。
わたしにとって、うさぎたちは「飼ってよかった」存在どころか、「いなかったら今の自分はいない」と思えるほど、支えになってくれてきました。
体調が不調で会社を長く休んだとき、物言わぬうさぎは、そっと側にいていつも気持ちを支えてくれました。
私にとって、うさぎは小さな守り神のような存在です。
もし「飼わなきゃよかった」と悩んでいるなら、わたしはそっと伝えたいのです。
きっと「飼ってよかった、うさぎは家族」と思える日はくるから、大丈夫ですよ。